データの持ち運びや受け渡しに便利なUSBメモリ。しかし、いざパソコンに挿しても「認識しない」「中身が見られない」といったトラブルに見舞われ、困った経験はありませんか? 大切なデータが入っている場合など、本当に焦りますよね。
でも、すぐに「壊れた!」と諦めてしまうのは早いかもしれません。USBメモリが認識しない原因は様々で、簡単な対処で解決できるケースもあります。
この記事では、USBメモリが認識しない時に考えられる主な原因と、自分で試せる対処法を分かりやすくまとめました。順番に確認していけば、問題解決の糸口が見つかるかもしれません。
あれ?と思ったら。まず試したい基本的な確認事項
複雑な原因を考える前に、まずは以下の基本的な点を確認してみましょう。意外とこれで解決することも少なくありません。
- 別のUSBポートに挿してみる: パソコンには複数のUSBポートがあります。今挿しているポート自体に問題がある可能性があるので、別のポートで試しましょう。
- パソコンを再起動する: パソコンのOSやUSBドライバの一時的な不調が原因の場合、再起動で正常に戻ることがあります。
- 可能なら、別のパソコンで試してみる: もし他のパソコンがあれば、そちらで認識するか試してみましょう。これで、問題がUSBメモリ側にあるのか、パソコン側にあるのかを切り分けやすくなります。
- USBハブを使っている場合は、パソコン本体に直接挿す: USBハブや延長ケーブルが原因(電力不足や接触不良など)の場合があります。パソコン本体のUSBポートに直接接続して試してみましょう。
- USBメモリの接続部分(金属端子)を確認する: ホコリやゴミが付着していると接触不良の原因になります。息を吹きかけたり、乾いた布で優しく拭いたり、エアダスターでホコリを飛ばしたりしてみましょう(強く擦らないこと)。
考えられる原因と対処法【ソフトウェア・設定編】
基本的な確認で解決しない場合、ソフトウェアや設定が原因かもしれません。
原因1:ドライブ文字が割り当てられていない / 重複している(主にWindows)
症状の例
パソコンに接続音はするけれど、エクスプローラー(フォルダを開く画面)にUSBメモリのドライブが表示されない。しかし「ディスクの管理」ツールを見ると認識はされている。
対処法
Windowsの「ディスクの管理」ツールを使って、認識されているUSBメモリに新しいドライブ文字(例: Fドライブ、Gドライブなど)を割り当てるか、重複している場合は変更します。(詳しい手順は「ディスクの管理 ドライブ文字 割り当て」などで検索すると見つかります)
原因2:USBドライバーに問題がある
症状の例
デバイスマネージャー(Windows)やシステム情報(Mac)で、USB関連のデバイスに「!」や「?」のエラーマークが付いている。
対処法
- Windowsの場合: デバイスマネージャーを開き、該当するUSBデバイス(不明なデバイスなど)を探して右クリック。「ドライバーの更新」を試すか、「デバイスのアンインストール」を行ってからパソコンを再起動し、ドライバーを再認識させてみます。
- Macの場合: macOSではドライバーはOSに含まれるため、個別の更新は基本的に不要です。OS自体を最新バージョンにアップデートすることで改善する場合があります。SMCリセットやNVRAMリセットを試すのも有効な場合があります。
原因3:ファイルシステムが破損している
症状の例
USBメモリを挿すと「フォーマットする必要があります。フォーマットしますか?」というメッセージが表示される。ドライブとしては認識されるが、開こうとするとエラーが出る。
対処法(中のデータが不要な場合)
メッセージに従ってフォーマット(初期化)を実行します。Windowsならエクスプローラーで右クリックから、Macならディスクユーティリティからフォーマットできます。(注意:フォーマットすると中のデータはすべて消えます!)
対処法(中のデータを救出したい場合)
フォーマットは絶対にしないでください! まずは市販またはフリーの「データ復旧ソフト」を試してみる価値があります。ただし、必ずデータが復旧できる保証はありません。復旧ソフトで必要なデータを救出できた後に、フォーマットを実行しましょう。
原因4:OSが対応していないファイルシステム形式でフォーマットされている
症状の例
Macで使っていたUSBメモリをWindows PCに挿したら認識しない(またはその逆)。
原因
データの管理形式(ファイルシステム)がOS間で互換性がないためです。例えば、Mac標準の「APFS」や「HFS+」はWindowsでは通常認識できません。Windows標準の「NTFS」もMacでは書き込みができない場合があります。
対処法
- データが必要な場合は、そのUSBメモリをフォーマットしたOS(MacまたはWindows)で再度アクセスしてデータを別の場所に移します。
- 今後、MacとWindowsの両方で使いたい場合は、USBメモリを両OSで読み書き可能な「exFAT」または「FAT32」(4GB以上のファイルは扱えない制限あり)形式でフォーマットし直します。(データは消えます)
考えられる原因と対処法【ハードウェア・物理的な問題編】
ソフトウェア的な対処法を試してもダメな場合、物理的な故障の可能性があります。
原因1:USBメモリ本体の物理的な故障
症状の例
どのパソコン、どのUSBポートに挿しても全く反応がない(接続音もしない)。異音がする。USBメモリ本体が明らかに破損している(曲がっている、割れているなど)。
原因
落下による衝撃、水濡れ、コネクタ部分の破損、内部のメモリチップやコントローラーの故障、静電気による破損、経年劣化など。
対処法
物理的に故障した場合、自力での修理はほぼ不可能です。中のデータが不要であれば、諦めて新しいUSBメモリを購入しましょう。
どうしてもデータが必要な場合は、専門の「データ復旧業者」に相談するという選択肢があります。ただし、復旧費用は高額になることが多く、必ず成功するとは限りません。
原因2:パソコン側のUSBポートの物理的な故障
症状の例
特定のUSBポートだけ、何を挿しても(他のUSBメモリやマウスなど)全く反応しない。
対処法
他の正常なUSBポートを使いましょう。どうしてもそのポートが必要な場合は、パソコンの修理を検討する必要があります。
原因3:電力不足(特に消費電力の大きい機器)
症状の例
USBメモリではなく、ポータブルHDD/SSDなど消費電力の大きい機器が、USBハブ経由や延長ケーブル使用時に認識しない、または動作が不安定になる。
対処法
パソコン本体のUSBポート(特に電力供給能力が高いとされる背面ポートなど)に直接接続します。それでもダメな場合は、ACアダプターから別途電源を供給する「セルフパワータイプ」のUSBハブを使用すると改善することがあります。
【重要】データ復旧について – 過信は禁物、バックアップが基本!
ファイルシステムの破損などソフトウェア的な問題の場合、データ復旧ソフトでデータを取り出せる可能性があります。しかし、これは万能ではありません。
- データ復旧ソフト: 論理的な障害(誤削除、フォーマットなど)には有効な場合がありますが、物理的な故障には対応できません。また、データの状態によっては完全に復旧できないこともあります。
- データ復旧業者: 物理的な故障に対応できる場合がありますが、費用は数万円~数十万円と高額になることが一般的です。
最も確実なのは、日頃から重要なデータのバックアップを取っておくことです。USBメモリはあくまで一時的なデータの保管・移動手段と考え、大事なデータはパソコン本体やクラウドストレージ、別の外付けHDD/SSDなど、複数の場所に保存しておくことを強く推奨します。
USBメモリを安全に長く使うためのヒント
トラブルを未然に防ぐために、以下の点に注意してUSBメモリを扱いましょう。
- 必ず「安全な取り外し」操作を行う: いきなり引き抜かず、OSの「ハードウェアの安全な取り外し」や「取り出し」操作を行ってから抜きましょう。データ破損のリスクを減らせます。
- 抜き差しは丁寧に: コネクタ部分に無理な力がかからないよう、まっすぐ丁寧に抜き差ししましょう。
- 衝撃・水濡れ・高温多湿・静電気を避ける: USBメモリはデリケートです。保管場所や扱い方に注意しましょう。
- 定期的にバックアップを取る習慣を: USBメモリ内のデータも、他の場所にバックアップしておくと安心です。
- 重要なデータはUSBメモリ「だけ」に保存しない: 常にコピー元か別のバックアップがある状態を保ちましょう。
まとめ:諦める前に試せること&一番大事なのは予防策
USBメモリが認識しない時、まずは焦らず、この記事で紹介した基本的な確認事項や対処法を試してみてください。ソフトウェア的な問題であれば、自力で解決できる可能性も十分にあります。
しかし、物理的な故障が疑われる場合は、無理に自分で分解したりせず、データが必要なら専門業者への相談、不要なら買い替えを検討しましょう。
そして何よりも大切なのは、トラブルが起きてから後悔するのではなく、日頃からUSBメモリを丁寧に扱い、重要なデータのバックアップを欠かさないことです。これが、あなたの大切なデータを守る最も確実な方法です。