【悲報】ドローンのイノベーション、北陸の雪に負ける。

国家戦略特区で生まれた「ドローン実験ケージ」が教えてくれた、地方イノベーションの学び

株式会社デジタルカレッジKAGAのプレスリリース

国家戦略特区で生まれた「ドローン実験ケージ」が教えてくれた、地方イノベーションの学び

2年前、石川県加賀市の「国家戦略特区」という、だいぶ未来が約束されていそうな看板の下、私たちデジタルカレッジKAGAは市が運営するコワーキングセンターの中庭にひとつの「鳥かご」を作りました。ドローン用ケージを中庭に設置!コワーキングがドローン実験場に!

イメージ画像
実際に作った「ドローン用ケージ」

もちろん本物の鳥のためではありません。ネットで囲われたドローンの実験場「ドローン用ケージ」です。

設置直後のドローンエンジニア会議の模様

イノベーションセンターのコワーキングスペースのすぐ隣で、エンジニアがコードを書き、機体をいじり、数歩歩いて機体を飛ばし、挙動を見て、また戻って開発を続ける。市街地にありながら、GPSデータを取得した状態で、航空法上の問題なくドローンをすぐに飛ばせる場所。

そんな、地方にしては少し気が早く、技術者から見ればごく自然な環境を作りたかった。

何億円もする豪華な箱モノでもなければ、立派な補助金で整備された施設でもありませんでしたが、もっと控えめで、もっと雑で、もっと本質的でした。

要するに、市の許可は得つつ、デジタルカレッジKAGAが勝手に作った設備だったのです。
材料にかかった金額は自分たちで出した10万円。

「まず作る。まず試す」

イノベーションは、本当はそういうところから始まる。そんな、少し真面目すぎるくらいの信念で作った、小さくて泥臭い拠点でした。

そして先日、そのイノベーションは雪に負けました・・・

ここで誤解してほしくないのですが、市のドローン施策が雪に負けたわけではありません。

負けたのは、ドローンを飛ばすために我々が必死で整えた環境のほうです。

冬の重みは、要した努力にあまり感動してくれません。そして、北陸の雪は、未来志向のスローガンにも、国家戦略特区という看板にも、驚くほど平等に降り積もります。

結果、鳥かごは静かにつぶれました。

雪でつぶれたドローン用ケージ

正直、雪がこんなに重いとは、、、

これは、単なる設備の損壊ではありません。
少し大げさに言えば、地方における「イノベーションの敗北」の記録です。

技術で負けたのではない、季節に負けた。

ただ、敗因は雪だけではありませんでした。

正直に言うと、この設備は、期待したほど使われませんでした。

東京の会社にお金を払って実証実験しに来てもらっている地方の街に、「タダで飛ばせるよ」といったところで何かが急に増えるわけでもない。地元の若者たちにはこれがなにかもわからない。

書いてみるとずいぶん当たり前ですが、こういう当たり前は、たいてい一度何かを作ってみないと、本当の意味では腹に落ちません。

未来を語り、ドローンの先進地を標榜しても、
設備を作れば自然に人が集まり、実験が回り始めるわけではない。
看板は人を鼓舞することはあっても、自発的に足を運んでくれる人が増えるわけではない。

未来というものは、思っている以上に腰が重いようです。

さらにもう一つ特徴的なことがあります。

こういうのが始まるときには、必ず熱意のある人がいます。「地場に根付く産業を作ろう」「地方から未来を作ろう」と本気で動く人。そして、その人たちの熱意がある間、設備は単なる構造物ではなく、ちゃんと思想を帯びた装置になります。

しかし年月が経つと、人は変わり、組織は変わり、役割も移り、政治も変わります。そうすると、設備だけが残ることになる。

残された設備は、いつのまにか当初の想いから少しずつ距離を取りながら、静かにそこに存在し続けます。

そこに雪が降り、冬が来て、押しつぶした。

Winter has come,,,

雪が重かった

北陸らしいと言えば、ずいぶん北陸らしい結末。

そして、私たちは雪解けをまってこの鳥かごを自分たちの手で撤去しました。

片付けた後の変わり果てた資材。3時間かかった。

日本国内には、誰が作ったのか分からないまま、静かに風景の一部になっていく施設が少なくありませんよね、でも、せめてこれは、そういう遺物にはしたくありませんでした。

作った以上、片付けるところまでやる(当然ですが・・・)。イノベーション以前に人として必要な最低限の話だと思っています。結果の回収されない、やりっぱなしのイノベーションほどかっこ悪いものはない。

そして、この小さな挫折から学んだこと。

設備というものは、作ることより、使われ続けることのほうがずっと難しいんだね。

あと、ドローンのテクノロジーは未来を変えると言われますが、現実の世界では、まず「耐雪荷重」という物理をクリアしければいけない(そんなこと、誰も教えてくれなかった・・・)。

地方のイノベーションとは、だいたいそんな感じです。誰が悪いのかもわからない板挟みの中で、思ったより静かに、思ったより泥くさく進んでいくものなのでしょう。

そして最後に残る教訓、「看板は残る。しかしそこに込められた想いは薄まっていく。」という点。

ドローン先進地を掲げる国家戦略特区ですらこうなのです。地方創生が簡単なはずがありません。

だから爪痕として【悲報】プレスリリースを残します。

それでも、我々はどこかで何かをまた作って、そしてたぶんまた失敗するでしょう。

そういう懲りないことまで含めて、イノベーションだと思うのです。

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